北杜市景観計画の変更に関するパブリックコメント

  • 氏名: 細川英雄
  • 提出日: 平成28年1月26日
  • 案件名: 北杜市景観計画の変更について

意見の内容

「北杜市景観計画の変更内容について」を拝見しました。

事業用太陽光発電施設に関して,工作物としての太陽光パネル(以下,パネル)設置に届出その他の規制を設けるとの趣旨,理解できます。

しかし,現状は,文書の規制文言では覆いきれない,諸問題が多く含まれているようです。現状は,自然林の大規模伐採がほとんど無制限に行われ,それを規制できない状況にあるといえます。それは,事業用太陽光発電施設建設が,単に景観を損なうという次元を超え,地域全体の大きな環境破壊に向かっているためです。パネル設置による環境破壊の問題は,景観・眺望が著しく損なわれること以上に,住民の生活や健康を侵すものとして,次のように進んでいます。

  • 自然林の破壊による水源汚染による飲料水汚染等の環境の劣化(たとえば,最近の大滝湧水地域でのパネル設置計画はこれにあたります)
  • 電磁波等による人々の健康への影響(すぐにどのような影響が出るかは,まだわかりませんが,電磁波の問題はすでに言及されています)
  • 自然林の伐採による雨水の濁流,パネルの熱風の影響,大風時のパネル部品等の飛来の危険(毎日の生活における不安・心配等につながります)
  • 故障や使用停止の後,廃棄物としての回収方法も検討されていない(使えないパネルだけが残された場所は,農地等にも戻せないため,砂漠化します)。
  • パネル設置による影響で地価の下落等により周囲の地域の財産権が損なわれる(実際,パネル設置地域の物件は回避される傾向にあります。これはだれが保証するのでしょう)

以上のような諸問題を根本的に解決する方法を今回の規制案はほとんど持っていません。

本来なら,太陽光発電は自宅の屋根や敷地内のみで,売電目的の事業用太陽光発電はこれ以上原則として禁止すべきであると思います。さらに,既に建てられてものについては安全性や景観や環境の保全を優先し悪質なものについては撤去も辞さないような,北杜市という自治体の自己決定権に基づいた,明確な対応が必要でしょう。この地区の環境の質の劣化は,それほど危機的な状況にあるのではないでしょうか。

具体的には,今後,パネル設置に関しては,早急に第三者によるパネル建設問題委員会(仮称)を設置し,一つ一つ審議していくような議論システムが不可欠でしょう。そこで,既設及び現在建設中のパネルを含めて,事業用パネル建設の全面的な洗い直しを行い,住民の生活と健康を第一に考える方策の実施が北杜市として重要だと考えます。

自治体の使命は,企業活動の応援ではなく,住民の幸福と安全な暮らしを守るということです。その使命の実現のためには,自然環境は誰かが独占するものではなく,皆の大切な公共財として皆が守っていく視点に立った法律とその運用・解釈が行政に求められます。

既設及び現在建設中のパネルを含めて,事業用パネル建設の意味をもう一度問い直す根本的な検討をお願いしたいと思います。